基礎工事って何日かかる?期間の目安とズレる理由をわかりやすく解説

建物の工事が始まると、近所の人や施主の間でよく聞かれるのが「いつ終わるんだろう」という声です。中でも基礎工事は、工程の初期にあたるため、「ここが長引いたら全体が遅れるのでは?」と不安になりがちな工程でもあります。


特に住宅地などでは、重機の音や資材搬入が続くことで「もう何日もやってる」と体感的に長く感じられることも多く、実際の作業日数以上に印象が強まる傾向があります。また、施主にとっては、基礎ができるまでは「本当に家が建つのか」という不安が拭えない時期でもあるため、工期の長短に対する感度が高くなるのも無理はありません。


一方で、現場の職人から見れば、基礎工事は建物全体の“土台”となる重要な工程です。時間をかけてでも正確に仕上げる必要があり、天候や地盤状況によって日数が変わることもあるため、簡単には「何日」と言い切れないのが実情です。


この「長く感じる」「遅れているように見える」という印象と、現場の事情とのギャップが、基礎工事の工期に対する不安を生んでいます。




目安は7日〜14日?住宅・公共工事で異なる基準

基礎工事の期間は、工事の規模や建物の種類によって大きく異なります。一般的な木造住宅の場合、天候に恵まれれば7日〜14日前後が一つの目安とされています。とはいえ、これはあくまで順調に進んだ場合の話であり、天気や工程の都合によって延びることも珍しくありません。


住宅の基礎には「布基礎」と「ベタ基礎」という二種類があります。布基礎は部分的にコンクリートを打設する構造で、比較的工程が少なく、短期間で終わる傾向にあります。一方、ベタ基礎は床全面にコンクリートを流し込むため、鉄筋の量や型枠の設置も増え、日数がかかります。耐震性や建物の規模によって、どちらが採用されるかは異なります。


また、基礎の構造だけでなく、現場の条件によっても変わります。敷地が狭くて重機が入りにくい場合や、土質が軟弱で改良が必要なケースなどでは、同じ住宅でも工期に差が出るのが一般的です。


一方、公共工事や大型施設の基礎工事は、さらに日数を要します。杭打ちや地盤改良などの事前工程を含めると、1か月以上かかる場合も珍しくありません。その分、工程ごとの分業が明確で、複数の業者が同時に進めることも多くなります。


つまり、「基礎工事=◯日で終わる」と一律には言えず、建物の規模・構造・地盤条件・施工方式のすべてが工期に影響を与えます。そのため、目安はあっても、現場ごとの調整が必要なのが現実です。




掘削から養生まで、各工程にどれくらいかかる?

基礎工事の期間を理解するには、各工程がどのように進み、それぞれにどれだけの日数がかかるのかを知っておくと見通しが立てやすくなります。以下は木造住宅のベタ基礎を例にとった一般的な工程と目安です。


1日目は重機を使って地面を掘削する作業から始まります。その後、砕石を敷いて地盤を均し、転圧機で締め固める工程に1〜2日。ここまでは比較的スムーズに進む場合が多いですが、雨が降ると泥の排水や整地の手直しが発生し、数日ずれ込むこともあります。


その後、防湿シートを敷き、鉄筋を組む作業が入ります。これには1〜2日を要し、図面通りに正確に組まれているか、第三者の検査も行われます。検査に合格すれば、次にコンクリートを流し込む「打設」工程に進みます。


打設は天候に左右されやすく、雨の日は延期されることがほとんどです。打設当日は丸一日を要し、その後は固まるのを待つ「養生」期間に入ります。季節によって異なりますが、最低でも3〜5日は必要とされます。


最後に型枠を外して、周囲の整地や片付けを行えば、基礎工事は完了です。全体として、各工程は連続して行われるわけではなく、間に「待ち時間」や「調整時間」が挟まるため、体感的には長く感じられることもあるでしょう。


こうして工程ごとの日数を見てみると、単なる作業時間ではなく、「準備と確認の時間」も含めて工程が成り立っていることがわかります。




「雨のせいで…」だけじゃない。遅れる原因と対応法

基礎工事の期間が予定より延びると、どうしても「管理が甘いのでは?」といった疑念が浮かびがちですが、実際には現場の努力だけではどうにもならない事情も多く存在します。まず代表的なのが、やはり天候です。特に掘削やコンクリート打設は、雨天時には安全や品質の観点から中止せざるを得ません。梅雨や台風の時期は、その影響がより顕著です。


次に、地盤の状態が予想と異なっていた場合も、工期に影響します。事前に地盤調査は行われていても、掘ってみないとわからない異物の混入や、局所的な軟弱地盤が見つかることがあり、その対応に日数を要することがあります。


さらに、資材の搬入遅れも意外と大きな要因です。型枠や鉄筋が予定通り届かない場合、その間は作業がストップします。昨今は建設資材の物流もタイトになっており、特に繁忙期には影響が出やすい傾向にあります。


また、近隣住民からの申し入れや、道路使用許可の都合によって作業時間が制限されることもあります。こうした外部要因は、事前に予測しきれない場合がほとんどで、現場ではその都度調整を求められます。


ただし、延びる理由が「曖昧な段取り」や「連絡ミス」にあるケースも確かに存在します。こうした内部要因は、元請や職長の経験・管理力に左右される部分が大きく、現場ごとの差が出やすいところです。


だからこそ、現場に入る側も「何が起こるか」を知っておくことで、予想外の事態に冷静に対応できるようになります。遅れをただ嘆くのではなく、「なぜ遅れているのか」「どう対応するか」を考える力が、信頼される職人には求められます。


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「早ければいい」とは限らない。現場で重視されるのは?

工期は短ければ短いほど良い――そう思われがちですが、基礎工事においては必ずしもそうとは限りません。むしろ「急ぎすぎてミスが出た」「コンクリートの強度が不安定だった」といった事例もあるため、現場では「スピード」と「精度」のバランスが常に問われます。


たとえば、型枠を組んだあとのコンクリート打設では、打ち終わったあとに一定期間の養生(ようじょう)期間を取ることが必須です。この時間を削って次の工程を急ぐと、乾燥不良によるひび割れや強度不足を招き、建物全体の安全性に影響を及ぼしかねません。つまり、時間をかけるべきところを正しく見極める力が、職人の判断として重視されるのです。


また、現場では「表面的に早いだけ」の仕事も見抜かれやすいものです。雑に片付けられた資材、精度の低い型枠、整理されていない鉄筋配置――一見早く進んでいても、やり直しや修正が必要になれば、かえって工期は伸びます。現場では「早いけど正確」「早くても丁寧」が、最も価値ある働き方とされています。


さらに、周囲の職人との連携も、効率に大きく関わります。次の工程の人が作業しやすいように整える、資材を共有するスペースを無駄なく使う、片付けを怠らない――こうした“段取り力”が、結果として全体の工期短縮にもつながります。


基礎屋の仕事は単に「コンクリートを流す作業」ではありません。全体の流れと品質を見据えて、「いまこの時間をどう使うべきか」を判断する力こそが、プロとして求められるものです。




工期は“コントロール不能”な要素も多い。でも、誠実な段取りは信頼につながる

基礎工事の期間は、図面上では数日で終わる工程でも、現場ではさまざまな事情により前後するのが当たり前です。天候、資材、人の動き――これらすべてが複雑に絡み合うため、誰もが思い通りに進められるわけではありません。


ただし、コントロールできない要素が多いからこそ、「できる部分を丁寧にやる」ことが、職人としての信頼につながります。準備、声かけ、確認、整備――どれも派手な技術ではありませんが、現場の流れを安定させるうえで欠かせない要素です。


「段取り八分」という言葉がありますが、基礎工事はまさにその典型です。事前の読みと整え方がうまい職人ほど、結果的にスムーズに終わる現場をつくるものです。


焦らず、油断せず、毎回の工事に誠実に向き合う姿勢が、周囲からの信頼と次の仕事につながっていきます。


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